ネコ坊主の「ネコさんから人間さんへ今日の一言」Vol.7

ネコ坊主こと、専念寺住職の藪本正啓です。
「言いやすい人だけに強くあたるなよ。カッコ悪いぞ。」
この言葉、私は何度も自分自身に言い聞かせてきました。
なぜなら、かつての私は、まさにその「言いやすい人」にだけ強く出てしまう側だったからです。
仕事でも家庭でも、気を遣う相手には丁寧な言葉を選び、相手の機嫌をうかがいながら接するのに、身近で大切な存在──たとえば家族や年下の同僚には、ついきつい言い方をしてしまっていました。
「どうしてわかってくれへんの?」
「そんなこともできんのか?」
そう口にしたあとで、必ず後悔がやってきます。
仏教では「慢(まん)」という煩悩があります。
これは、自分を他人よりも上に見る心の働きです。
「自分の方が立場が上」「自分の方が正しい」と思ってしまうと、相手を雑に扱ってしまう。
まさに私の言動は、この「慢」に支配されていたのだと気づかされました。
あるとき、私が強く当たった年下の仲間が、ふとこんなことを言いました。
「住職って、偉そうな人には丁寧やのに、僕らには怖いですよね」
その言葉は胸に深く刺さりました。
本来、仏道を学び、実践する立場にある私が、人を差別し、自分の中の怒りに流されている。
その事実に気づかされたとき、私は深く反省しました。
お釈迦さまの教えには、「自分の心をよく見なさい」というものがあります。
他人をどうこう言う前に、自分の心の中にどんな感情があるのか、どんな思い込みがあるのかを観察するのです。
そして、誰に対しても平等に接すること。
それが仏道を歩む者の基本姿勢です。
今でも私は完全にはできていません。
つい感情が出ることもあります。
でも、そんな自分に気づいたら、 一歩立ち止まって、「それ、カッコ悪いで」と自分に声をかけます。
言いやすい相手にこそ、優しい言葉を。
それが自分自身を磨く修行だと思うのです。

