ネコ坊主の「ネコさんから人間さんへ今日の一言」Vol.10

2025.07.17 ● ネコ坊主のねこさんから人間さんへ今日の一言 ● コラム

 
Vol.10
人間関係は突然切れるように見えてもその背後には長い時間の積み重ねがある。
 
 
 

 

ネコ坊主こと、専念寺住職の藪本正啓です。

 

人間関係というのは、ときに「突然終わった」と感じることがあります。
友人関係、職場の縁、そして何より夫婦関係。昨日まで普通だったのに、ある日ぽっきりと折れてしまう。そんな経験をされた方も少なくないでしょう。

けれど、仏教では「縁起(えんぎ)」という教えがあります。
すべての出来事は、偶然に起こるのではなく、必ず原因(因)と条件(縁)があって生じる、という考え方です。人間関係も同じです。突然切れたように見えても、その背後には日々の積み重ねがあるのです。

たとえば夫婦の関係でいえば、小さなすれ違い、言葉の省略、感謝を伝え損ねた一日、傷つけたことに気づかなかった沈黙。そうした何気ない一瞬一瞬が、積もり積もって、やがて取り返しのつかない距離になってしまうことがあります。

仏教には「業(ごう)」という言葉もあります。これは「行い」とも訳され、自分の行動や言葉、思いが、未来の結果として返ってくるという教えです。良い行いは良い結果を、悪い行いは悪い結果をもたらす。そして、その因果の中には、人間関係も当然含まれます。

だからこそ、今この瞬間が大切なのです。
  「ありがとう」「ごめんなさい」「うれしい」「つらい」——その一言が、心の距離を近づけたり、壊れかけた関係をつなぎ直したりする力を持っています。

人間関係は壊れてからではなく、壊れる前から育てるもの。
 縁を大切にし、小さな積み重ねに気づくこと が、仏教的な生き方の一つです。
突然は幻想。実際は、私たちが毎日選び取ってきた結果なのです。

今日、誰かにやさしい言葉をかけてみませんか。
その一歩が、未来を変えるかもしれません。

合掌

 

★ネコ坊主の「ネコさんから人間さんへ今日の一言」は、毎月第1・第3木曜日に「〝人間関係が楽になる〟〝心にしみる〟ことば」を紹介しています。

 

プロフィル

融通念仏宗 一向山専念寺 住職 籔本正啓(通称:ネコ坊主)

大阪市平野区喜連にある専念寺の第25代住職。1982年、大阪市平野区生まれ。7歳で父を病で亡くし、 母方の実家である専念寺に戻り、僧侶を志す。 23歳で住職を拝命。専念寺は豊臣家ゆかりのお寺で、「日本で一番美しい」と言われる迦陵頻伽(かりょうびんが)を拝観できる。

地域ネコの見守りと保護活動にも力を入れ、寺の掲示板のことばの書と猫の写真をSNSに投稿し、大きな反響を呼んでいる。Xフォロワー28万人、Instagramフォロワー26万人(2025年4月時点)。

著書に『ネコさんの「心にしみる」おひとりさま名言』(双葉社)、『大阪 専念寺 ネコ坊主の掲示板 人の悩みのほとんどは「人」 今日のことば101」 (主婦と生活社)。

専念寺ホームページ

 

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