高知 ✽ 来館者呼ぶユニークな試み ✽ むろと廃校水族館(室戸市)
【 高知県版 】話題のスポット
来館者呼ぶユニークな試み
むろと廃校水族館(室戸市)
室戸岬沖から毎朝届く魚
「むろと廃校水族館」は、2018年に四国東南端の室戸岬近くで廃校となった旧椎名小学校をリノベーションしてオープンした。
教室や廊下に水槽や標本が並び、展示されている魚は約100種。
地元の定置網にかかった魚の展示やユニークなイベントで年間約8万人が訪れる人気スポットだ。
◆ 研究 続けるために開館
屋外にある25mと10mのプールには、ウミガメやサメ、ブリなどがゆうゆうと泳ぐ。館長の若月元樹さんは、日本ウミガメ協議会の研究者として03年から室戸市沖の定置網に入るウミガメを調査するため、同市に常駐。一方、旧椎名小学校は01年に最後の卒業生を送り出し、廃校となっていた。「もともと、廃校になったプールで研究用のウミガメを飼育できればと思っていたのですが、研究を続けるための収入源として水族館にする計画が進んだことがオープンのきっかけです」と振り返る。
アカウミガメ、アオウミガメなどが泳ぐプール
一般的な水族館のようにペンギンやアシカ、イルカなどの人気者はおらず、ショーもない。オープンの際もホームページは作らず、マスコミへのリリースや、旅行会社にパンフレットも送らなかった。ところが、アクセスに便利な鉄道駅や高速道がないにもかかわらず、SNSなどで話題となり、初年度は目標の来館者4万人を大きく上回る約17万人が訪れた。
クジラの標本に見入る来館者
◆ 学校ではできない体験も
展示のほか、ユニークな手作りイベントやアトラクション、おみやげも人気を後押しする。校舎の一室に設けた「プーリング」は、スタッフが3Dプリンターで制作したブリをピンに見立てて遊ぶ小さなボウリングコーナー。ピンを倒すと景品として非売品のオリジナルグッズがもらえる。団体客には特別イベントとして、夜の校舎で行う肝試しや、学校では決してできない教室での酒盛り、寝袋を使って水槽の横で眠る宿泊企画なども用意する。おみやげはカメをかたどったかまぼこ「かめぼこ」や定置網の仕組みをイラスト化した下敷き兼まな板、ブリを模したかぶりものなど、ユニークでかわいいオリジナルグッズがそろう。
人気の手作りアトラクション「プーリング」。スタッフはブリのかぶり物でお出迎え
SNSで知り、千葉県から訪れたと言う横内大進さん・菜々子さん夫妻は「教室のたたずまいがうまく生かされ、懐かしい気持ちになります」と話し、鳥取県から訪れた親子連れは「ウミガメがたくさん泳いでいるプールは開放的。家族で気持ちよく過ごせます」とほほ笑んだ。ユニークな試みと珍しさで、県外からも多くの来館者を呼び込んでいる。
(エリアライター/黒田仁朗)
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