島根 ✽ 生乳本来の風味と栄養を大切に ✽ 木次乳業(雲南市)

2025.07.11 ● エンタメ&カルチャー ● 中四国情報

【 島根県版 】おじゃましまーす!

生乳本来の風味と栄養を大切に

 

木次乳業(雲南市)

 

牧場の前に立つ安部さん

 

赤と黄色のパッケージが印象的な「木次パスチャライズ牛乳」。
パスチャライズとは生乳を一般的な超高温殺菌(120℃2秒間)ではなく、65℃ 30分間、または72℃ 15秒間で殺菌する方法で、生乳本来の風味や栄養を損なわないのが特徴。パスチャライズ牛乳の名で1978年に日本で初めて市場に流通化させた木次乳業を訪ねた。

 

◆東京や大阪にもファン
木次乳業に集められる生乳は、いずれも島根県の豊かな自然のもとで育った牛たちのもの。これを検査室で細菌や抗生物質の有無などの品質チェックをしたのち、製品原料として使用する。「殺菌は65℃で30分間行います。1日10~20tの生乳を処理しますが、30分保持するので同じ量でも超高温殺菌より多くの時間と労力が必要です」とタンクがズラリと並ぶ工場を案内してくれたのは営業部主任の安部翔平さん。そのため一般的な牛乳より価格はやや高めだが、パスチャライズ牛乳ならではのさらっとした味わいやほのかな甘みが好まれ、東京や大阪などにもファンは多い。飼育者の目が行き届く家族的酪農を推奨していることも「安心して飲める牛乳」として好まれている。

 

パック詰めされる牛乳(写真提供/木次乳業)

 

◆「穴あきチーズ」日本初
製造されたパスチャライズ牛乳は、工場内のチーズ工房で作る10種類のチーズの原料にもなる。安部さんは「同じチーズでも季節によって牛が食べる牧草の香りや成分の違いで、味わいが変わります。チーズは牛乳を10分の1程度に凝縮するので栄養も味も濃縮されるんです」と説明する。実は「穴あきチーズ」で知られるエメンタールチーズを日本で最初に作ったのは木次乳業だ。エメンタールチーズはとりわけ良質な生乳や高い技術が必要で、技術力向上のため試験的に作られ、91年に製造に成功した。

 

チーズの製造作業(写真提供/木次乳業)

 

◆牛の品種にこだわり
製造にあたって、良質な生乳を求めてブラウンスイス種を導入。ホルスタイン種より小柄で乳量が少ない一方、無脂乳固形分が多くコクがある。山での飼育に適していることも、山の多い島根の風土に合致した。現在チーズとしては製造していないが、今も直営の日登牧場などで飼育され「山地(やまち)酪農牛乳」「ブラウンスイス牛乳」の名で販売している。安部さんは「牛たちは朝、搾乳を終えると、牛舎から出て行き、山に生えている草を食べ、夕方になるとまた搾乳のために戻ってきます」と牛たちの一日を解説する。

 

斜面で草を食べるブラウンスイス種(写真提供/木次乳業)

 

 「健やかな暮らし」をテーマに牛乳をはじめチーズやヨーグルト、プリンなどを作ってきた同社では、今後はピザなどイベントや特別な日に楽しめる商品にも力を入れていく。体はもちろん、心も豊かにしていく商品展開にも注目だ。
(エリアライター/今井順子)

 

木次乳業の製品(写真提供/木次乳業)

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