広島 ✽ 甘さ控えめでも おいしいジャムを ✽ アヲハタ(竹原市)
【 広島県版 】おじゃましまーす
甘さ控えめでも おいしいジャムを
アヲハタ(竹原市)
シンメトリーで控えめな印象の本社屋
全国津々浦々のスーパーやコンビニでおなじみの「アヲハタジャム」。
その本社は県中部の竹原市にある。主にフルーツを使ったジャムやスプレッドなど、人気商品を作り出す「アヲハタ」を訪ねた。
本社屋は、のどかな瀬戸内海が見渡せるJR忠海駅から東へ約200mの場所にある。緑色の三角屋根とクリーム色の外壁がレトロモダンな雰囲気。駅の南側には、ジャム工場と2012年にできた体験施設「アヲハタ ジャムデッキ」がある。創業は昭和初期の1932年。缶詰など柑橘(かんきつ)の加工品を作るために設立された。当時は冷蔵庫があまり普及・発達していなかったため、収穫した原料をすぐに加工できるよう、瀬戸内のミカンの産地近くに工場を建て、4年後にはマーマレードの製造を開始。高度経済成長期を経て、食生活の多様化の中、着実に規模を拡大していった。
「旗道園」の社名で設立した当初の工場(写真提供/アヲハタ)
◆糖度55度 オレンジマーマレードの開発
同社の転機の一つが70年に発売した、糖度55度の「アヲハタ 55 オレンジママレード」。当時のジャムは糖度が65度以上あり、保存食の意味合いが強かった。一方で「甘さ控えめ」への関心が芽生え始めた頃でもあった。研究開発で目指したのは「甘さ控えめでも、おいしいジャム」。ところが、単に砂糖を減らすだけでは高糖度と同じような状態を保てず、ジャムらしい粘度も下がる。イチゴジャムでは、色が鮮明な赤からピンクになり、原料の品種から見直すなどしたそうだ。そんな中で注目したのが、ジャムをゼリー状に固める素材のペクチン。専門メーカーと共に研究を進め、「糖度55度」にたどり着いた。しかし、発売当初の市場はまだ、低糖度ジャムになじみのない時代。地域広報担当の木峰三津男さんは「開発には多くのハードルがあり、大変苦労した上、マーケットに受け入れられるのにも時間がかかりました」と語る。
地域広報担当の木峰さん(右)と藤原さん
◆高まる低糖度へのニーズ
その後、健康志向の高まりと共に徐々に受け入れられ、70年代後半から売り上げが伸び、現在では主力商品になった。同・藤原ちひろさんは「挑戦する風土があったとはいえ、市場を切り開いた先輩たちはすごいと思います」と胸を張る。さらに、2012年には果実と果汁で作った「まるごと果実」シリーズを発売。糖度はさらに低い30度台で、パンだけでなく、ヨーグルトやデザートにも使えると評判を呼び、今では主力商品の一つとなっている。甘さを抑えた商品へのニーズはどんどん高まっており、木峰さんは「これからも、時代に合った挑戦を続け、フルーツでさまざまな食のシーンを豊かにしていきたいですね」と笑顔で話していた。
(エリアライター/井東由里子)
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