【相続コラム】Q「通帳が見つからない」では済まない? 親が元気なうちに聞いておく「お金の置き場所」  ワンコ税理士の損をしない相続Vol.44

2026.07.27 ● ワンコ税理士の損をしない相続

ワンコ税理士の損をしない相続Vol.44 Q「通帳が見つからない」では済まない? 親が元気なうちに聞いておく「お金の置き場所」

Vol.44
「通帳が見つからない」では済まない?
親が元気なうちに聞いておく「お金の置き場所」

「親に財産のことを聞くのは、少し気が引ける」

そう感じる方は少なくありません。いくら持っているのかを尋ねれば、「まだ元気なのに、相続の話か」と思われそうです。子どもの側にも、財産を当てにしていると思われたくない気持ちがあります。
けれども、相続後に家族が困るのは、財産が多いか少ないかではありません。
「どこに、何があるのか分からない」ことです。

 

通帳はどこにあるか

親が亡くなった後でも、心当たりのある銀行に相続人が必要書類を提出すれば、口座の有無を確認できます。問題は、心当たりがないときです。
現在は、マイナンバーが付番された預貯金口座について、一つの金融機関を通じて所在を照会できる制度もあります。ただし、すべての口座を確認できるわけではありません。
以前、私が関わった相続税の税務調査で、亡くなった方が昔住んでいた地域の銀行に口座が残っていたことが分かりました。相続人は誰も知らず、相続税の申告に含めていなかったことから、申告漏れを指摘されました。
通帳も紛失している昔の口座やそもそも通帳がないインターネット銀行には注意が必要です。
聞いておきたいのは残高ではありません。
銀行名と支店名、通帳やキャッシュカードの保管場所。それだけでも手がかりになります。

 

自宅の現金は、誰も知らない

銀行に預けていない現金は、照会では見つかりません。
以前、遺品整理の作業中に、新聞紙に包まれた現金が遺品整理業者さんによって見つかったことがありました。家族が気づかないまま、危うく捨ててしまうところでした。
自宅に現金を保管しているなら、その場所だけは家族に伝えておきたいところです。
 
ワンコ税理士の損をしない相続Vol.44 Q「通帳が見つからない」では済まない? 親が元気なうちに聞いておく「お金の置き場所」  通帳と現金のイラスト
 

保険は、支払いが終わると手がかりが減る

生命保険は、亡くなった後でも生命保険協会に照会すれば、契約の有無を調べてもらえます。ただし、有料で、対象にならない契約もあります。
保険料の支払いが続いていれば、通帳が手がかりになります。
ところが、支払いが終わった契約は通帳に記録が残りません。
保険会社名と保険証券の保管場所を確認しておきましょう。

 

証券会社は、名前が分かれば早い

上場する国内株式などについては、証券保管振替機構に開示請求をすれば、口座を開設している証券会社などを確認できます。
ただし、保有銘柄や残高までは分かりません。対象外の金融商品もあるため、最初から証券会社名が分かっている方が手続きは早く進みます。
暗号資産も、取引所名や関係資料の保管場所を残しておきましょう。

 

不動産は、自宅だけとは限らない

令和8年2月2日から「所有不動産記録証明制度」が始まりました。
本人や相続人が法務局に請求すれば、登記名義人となっている不動産を一覧で確認できます。
ただし、先代名義の土地は、親の名前で調べても出てきません。
先代から受け継いでいる田畑や山林を、本人も把握していないことがあります。
固定資産税の納税通知書の保管場所と、先代から引き継いだ土地がないかを確認しておきましょう。

 

借金と保証も、忘れてはいけない

借金や連帯保証は、相続するかどうかの判断に直接関わります。
本人が家族に伝えていなければ、相続後すぐには分からないことがあります。
借入先の名前だけでも書き残しておいてもらうことが大切です。

 

出ていったお金が、後で問題になる

相続が始まって預金の出入りを確認すると、亡くなる前に多額のお金が引き出されていたと分かることがあります。
本人に理由を聞くことが既にできず、他の相続人が「同居していた家族が使ったのではないか」と疑うことがあります。
実際には、本人の生活費、自宅の修理代、施設の入居金などに使った正当な支出である場合もあります。しかし、資料がなければ、他の相続人には分かりません。
親のお金を大きく動かしたときは、領収書や振込記録を残し、何に使ったのかをメモしておく。それだけでも、相続人同士の疑いを防ぎやすくなります。

 
ワンコ税理士の損をしない相続Vol.44 Q「通帳が見つからない」では済まない? 親が元気なうちに聞いておく「お金の置き場所」 親子で情報共有イラスト
 

一枚のメモを残す

銀行名と支店名、保険会社名、証券会社名、不動産の場所、借入先。
その横に、通帳、保険証券、権利証、固定資産税の納税通知書などの保管場所を書き添えます。貸金庫を利用しているなら、銀行名と鍵や利用カードの置き場所も必要です。
残高は変わりますが、取引先は頻繁には変わりません。年に一度、見直せば足ります。
ただし、このメモを貸金庫の中だけに置くと、そこへたどり着くまでに時間がかかります。

 

どう切り出すか

「財産がいくらあるか教えて」と聞くから、話が止まります。
「何かあったときに書類の場所が分からないと困るから、取引先の一覧と、その置き場所だけ教えてほしい」
こう言えば、金額の話から離れられます。暗証番号やパスワードを教えてもらう必要もありません。相続の準備というと、節税や遺言を思い浮かべがちです。
しかし、その前にあるのは、財産がどこにあるか分かっていることです。
 
金額より先に、置き場所を。
それだけでも、残された家族の負担は大きく変わります。

 
 
 

奥税理士 ワンコ税理士の損をしない相続
よみふぁみでは、理解するのが難しい「相続」をワンコ税理士こと、奥典久税理士の協力で、「相続」に関する疑問を一問一答で解説するコラムを連載しています。
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奥税理士 ワンコ税理士の損をしない相続
奥典久税理士事務所代表(大阪市北区)
相続税法の講師経験を活かし、相続税の申告や節税対策、遺言、家族信託、事業承継まで幅広く対応。

豊富な実績と丁寧な対応で多くの相談者から信頼を集めている。

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