ネコ坊主の「ネコさんから人間さんへ今日の一言」Vol.23 嫌いな人を頭の中に住まわせないこと。家賃も払っていない他人に、居場所を貸す必要はありません。

2026.02.05 ● ネコ坊主のねこさんから人間さんへ今日の一言 ● コラム

ネコ坊主の ネコさんから人間さんへ今日の一言 タイトル 
Vol.23

嫌いな人を頭の中に住まわせないこと。家賃も払っていない他人に、居場所を貸す必要はありません。

 

ネコ坊主こと、専念寺住職の藪本正啓です。
 
 

嫌いな人を頭の中に住まわせないこと

この言葉は、仏教でいう「執着」をとても分かりやすく表していると思います。私たちは嫌な相手ほど、なぜか何度も思い出してしまいます。言われた一言、された態度を反芻し、頭の中で何度もやり直しの会話をしてしまう。気づけば、その人は実際には目の前にいないのに、心の中では大きな存在になっています。

僧侶として人と関わる中で、私自身も何度もこの状態を経験してきました。理不尽な言葉を受けた日ほど、布団に入ってからも考えが止まらず、「なぜあんな言い方をされたのか」「自分が悪かったのか」と心が休まらない夜を過ごしました。ですが、その時間は誰の得にもなっていませんでした。ただ、自分の心をすり減らしていただけだったのです。
 

家賃を払ってない他人に居場所を与える必要はありません

仏教では、心は「自分が今ここに生きるための場所」だと考えます。そこを怒りや恨みで埋め尽くしてしまうと、安心や慈しみが入り込む余地がなくなります。嫌いな人のことで心がいっぱいになるというのは、言い換えれば、自分の人生の時間とエネルギーを無償で明け渡している状態です。それはあまりにも、もったいないことです。
 

一度、住みついたら出ていくのに時間がかかります

これは仏教的にも、とても大切な視点です。感情は「無常」であり、いつかは変わりますが、無理に追い出そうとすると、かえって強くなります。私も「忘れなければ」「気にしないようにしなければ」と力んだときほど、逆に相手のことが頭から離れませんでした。

あるとき、「今、怒っている自分がいるな」と、ただ認めるようにしました。追い出すのではなく、静かに距離を取る。その姿勢に変えたことで、少しずつ心が軽くなっていったのです。

嫌いな人を頭の中に住まわせないとは、相手を否定することではありません。自分の心を大切に扱うという、仏教的な智慧です。心の居場所は、安心と優しさのために使っていきたいものです。

 

★ネコ坊主の「ネコさんから人間さんへ今日の一言」は、毎月第1・第3木曜日に「〝人間関係が楽になる〟〝心にしみる〟ことば」を紹介しています。  ※掲載週は変更になる場合があります

 

プロフィル

融通念仏宗 一向山専念寺 住職 籔本正啓(通称:ネコ坊主)

大阪市平野区喜連にある専念寺の第25代住職。1982年、大阪市平野区生まれ。7歳で父を病で亡くし、 母方の実家である専念寺に戻り、僧侶を志す。 23歳で住職を拝命。専念寺は豊臣家ゆかりのお寺で、「日本で一番美しい」と言われる迦陵頻伽(かりょうびんが)を拝観できる。

地域ネコの見守りと保護活動にも力を入れ、寺の掲示板のことばの書と猫の写真をSNSに投稿し、大きな反響を呼んでいる。Xフォロワー28万人、Instagramフォロワー39万人(2026年1月時点)。

著書に『ネコさんの「心にしみる」おひとりさま名言』(双葉社)、『大阪 専念寺 ネコ坊主の掲示板 人の悩みのほとんどは「人」 今日のことば101」 (主婦と生活社)。

専念寺ホームページ

 

一覧へ戻る

おすすめ記事

新着記事

新着記事をもっと見る >
監修
よみふぁみ編集部運営:読売情報開発大阪
読売情報開発大阪が運営する、お得で楽しい生活情報Webメディア。関西を中心にグルメ・旅・エンタメ・レシピなど暮らしに役立つ情報をお届けします。読売新聞グループ。