ネコ坊主の「ネコさんから人間さんへ今日の一言」Vol.25 (特別編)泣く雛人形
Vol.25
(特別編)泣く雛人形

ネコ坊主こと、専念寺住職の藪本正啓です。
これは、今から10年前のお話です。
ある日、専念寺に一本の電話がありました。
お話しくださったのは、中年くらいの女性でした。
「亡くなった娘の雛人形が、夜になると泣くんです。
ぜひ、人形供養をしていただけませんか」
私は半信半疑のまま応対し、雛人形がお寺に来る日を待ちました。
後日届いたのは、立派な七段飾りの雛人形でした。
とても大切に保管されており、娘さんが生前に何度か飾っただけで、亡くなってからは辛くて一度も出せなかったそうです。
私の目には、特に変わった様子のない雛人形でした。
きっと、娘さんを亡くした悲しみの中で、泣き声が聞こえたように感じたのだろう。そう思っていました。
読経を行い、後日お焚き上げをして、人形供養は無事に終わりました。
ところが数日後、再び女性から電話がかかってきました。
「まだ泣き声が聞こえるんです。今度は家の中にいる娘に、供養をしてほしいんです」
私はすぐに車でご自宅へ向かいました。
仏前に手を合わせていると、確かに奥の方から、か細い鳴き声が聞こえてきました。音をたどっていくと、雛人形を保管していた納戸のあたり。さらに耳を澄ますと、納戸の下からでした。
その瞬間、私は気づきました。
近くの工務店の方にも応援に来ていただき、納戸の下から子猫を取り出しました。
子猫はかなり衰弱しており、すぐに動物病院へ向かいました。
女性が懸命に世話をしてくださったおかげで、子猫は一命を取り留めました。
私は女性にお伝えしました。
「ここまで人の手が入ると、親猫はもう世話をしません。もしよければ、あなたが育ててあげてもらえませんか」
少し間を置いて、女性はこうおっしゃいました。
それから10年。
その猫は、女性の家族として大きく成長しました。
今でも、ときどき写真をDMで送ってくださいます。
※掲載の許可をいただいています。

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