【人生の心構え】ネコ坊主の「ネコさんから人間さんへ今日の一言」Vol.34 謝罪をした人は前を向けるでも、傷つけられた人はまだその日に立ち止まっています。

2026.07.16 ● ネコ坊主のねこさんから人間さんへ今日の一言

ネコ坊主の「ネコさんから人間さんへ今日の一言」Vol.34 謝罪をした人は前を向けるでも、傷つけられた人はまだその日に立ち止まっています。 ネコ坊主かく

よみふぁみでは、毎月第1・第3木曜日に、人間関係が楽になる・心にしみることばを紹介するネコ坊主のネコ坊主の「ネコさんから人間さんへ今日の一言」を連載しています。今回は、「謝罪をした人は前を向けるでも、傷つけられた人はまだその日に立ち止まっています。」です。

 
ネコ坊主こと、専念寺住職の藪本正啓です。

謝った側と、傷つけられた側では、時間の流れ方が同じではない

謝ることは、とても大切な行動です。自分の非を認め、相手に向き合おうとする姿勢には、大きな意味があります。間違いを認めることは簡単ではありません。言い訳をしたくなることもあれば、自分を守りたくなることもあります。それでも勇気を出して「ごめんなさい」と伝えることは、人として大切なことです。
 
しかし、忘れてはいけないことがあります。
 
謝った側と、傷つけられた側では、時間の流れ方が同じではありません。
 
謝った人は、謝罪をしたことで気持ちに一区切りがつき、「自分はきちんと謝った」と前へ進めるかもしれません。胸のつかえが取れ、少し楽になることもあるでしょう。
 
けれど、傷つけられた人の心は、同じ速さでは前に進みません。
 
ふとした瞬間に言われた言葉を思い出したり、されたことが頭から離れなかったりします。夜になると何度も考えてしまうこともあります。一度壊れた信頼は、「ごめんなさい」という一言だけで、すぐに元通りになるものではありません。
 
謝った側にとっては「過去」になった出来事が、傷ついた側にとっては、まだ「現在」の痛みであることもあるのです。
 

本当に大切なのは、「謝った」という事実ではなく、その後の行動にある

だからこそ、本当に大切なのは、「謝った」という事実ではなく、その後の行動です。
 
同じことを繰り返さないこと。相手の痛みを勝手に小さく見積もらないこと。「いつまで怒っているの」「もう謝ったじゃないか」と、自分の都合で相手に許しを求めないこと。そして、失った信頼を取り戻すために、誠実な行動を積み重ねていくことです。
 
許すかどうか、いつ許せるかを決めるのは、謝った側ではありません。
 
謝罪は、相手に許してもらうための魔法の言葉ではないのです。「謝ったのだから、もう終わり」と考えるなら、それは相手のための謝罪ではなく、自分の罪悪感を軽くするための行動になってしまいます。
 
人の心は、言葉だけでは動きません。言葉で傷ついた心だからこそ、言葉だけでは癒えないこともあります。
 
誠実な行動を積み重ねることでしか、少しずつ癒えていかない傷があります。時間をかけなければ戻らない信頼もあります。
 
謝罪とは、終わりではありません。
 
本当の謝罪とは、「ごめんなさい」と頭を下げた瞬間ではなく、その後も相手の痛みに向き合い、自分の行動を変え続けること。
 
謝罪とは、相手の痛みに寄り添い続ける覚悟の始まりなのです。

 
 
 

プロフィル

融通念仏宗 一向山専念寺 住職 籔本正啓(通称:ネコ坊主)

大阪市平野区喜連にある専念寺の第25代住職。1982年、大阪市平野区生まれ。7歳で父を病で亡くし、 母方の実家である専念寺に戻り、僧侶を志す。 23歳で住職を拝命。専念寺は豊臣家ゆかりのお寺で、「日本で一番美しい」と言われる迦陵頻伽(かりょうびんが)を拝観できる。

地域ネコの見守りと保護活動にも力を入れ、寺の掲示板のことばの書と猫の写真をSNSに投稿し、大きな反響を呼んでいる。Xフォロワー28万人、Instagramフォロワー41万人(2026年2月時点)。

著書に『ネコさんの「心にしみる」おひとりさま名言』(双葉社)、『大阪 専念寺 ネコ坊主の掲示板 人の悩みのほとんどは「人」 今日のことば101」 (主婦と生活社)。

専念寺ホームページ


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