ネコ坊主の「ネコさんから人間さんへ今日の一言」Vol.19 本当にメンタルを病みやすいのは、弱音を言う人ではなく、弱音を抱え込んでしまう人です。

2025.12.04 ● ネコ坊主のねこさんから人間さんへ今日の一言 ● コラム

ネコ坊主の ネコさんから人間さんへ今日の一言 タイトル 
Vol.19

本当にメンタルを病みやすいのは、弱音を言う人ではなく、弱音を抱え込んでしまう人です。

 

ネコ坊主こと、専念寺住職の藪本正啓です。

弱音を言う人は弱い!?

「弱音を言う人は弱い」と思ってしまうことがあります。しかし、仏教の教えに照らしてみると、本当に弱いのは「弱音を言えず、抱え込んでしまう人」かもしれません。
心が苦しいのに誰にも言えない。迷惑をかけたくない、情けないと思われたくない。そうして心の奥に閉じ込めた思いが、いつしか重く沈み、やがて自分を追い詰めていきます。

お釈迦さまの教えには「苦しみを共にする」という姿勢があります。仏教では人は皆、「四苦八苦」を抱えて生きていると説かれます。生きること、老いること、病気になること、そして死ぬことは避けることができない苦しみであり、人間関係にも悩みがつきまといます。 誰もが心のどこかに「弱音」を持ちながら歩んでいるのです。
だからこそ、お釈迦さまは「聴くこと」を大切にされました。弟子たちが悩みを語るとき、否定も説教もせず、ただ耳を傾けられたと伝えられます。静かに受け止めたことが癒やしの始まりでした。

私たちもまた、「話せる人」や「聞いてくれる人」がそばにいるだけで、心の重荷は少しずつ軽くなっていきます。もし周りに誰もいないと感じたら、どうか仏さまの前で心を打ち明けてみてください。「南無阿弥陀仏」と唱えるその瞬間、阿弥陀さまはすでにあなたの苦しみを受け取っています。
弱音を吐くことは、信頼の表れであり、人として自然な営みです

 

弱音を抱え込んでしまう人へ

一方で、弱音を抱え込んでしまう人は、優しすぎるのかもしれません。人を思いやる心が強いからこそ、迷惑をかけまいとして、自分の心を後回しにしてしまうのです。けれど仏教では「自利利他円満(じりりたえんまん)」、つまり「自分を大切にすることが、他人を大切にすることにつながる」と説かれています。自分を傷つけてまで誰かを支えようとすれば、やがて力尽きてしまいます。

どうか、あなたの弱音を抱きしめてあげてくださいそれは心の悲鳴ではなく、「生きている証」です。泣いてもいい、疲れてもいい。仏さまはいつでも、ありのままのあなたを受け入れてくださいます。

今日も誰かが、自分を責めながら静かに耐えているかもしれません。そんな人にこそ、この言葉を届けたいのです。
「弱音を言う人ではなく、弱音を抱え込む人が、いちばん苦しいのです」と。

 

★ネコ坊主の「ネコさんから人間さんへ今日の一言」は、毎月第1・第3木曜日に「〝人間関係が楽になる〟〝心にしみる〟ことば」を紹介しています。  ※掲載週は変更になる場合があります

 

プロフィル

融通念仏宗 一向山専念寺 住職 籔本正啓(通称:ネコ坊主)

大阪市平野区喜連にある専念寺の第25代住職。1982年、大阪市平野区生まれ。7歳で父を病で亡くし、 母方の実家である専念寺に戻り、僧侶を志す。 23歳で住職を拝命。専念寺は豊臣家ゆかりのお寺で、「日本で一番美しい」と言われる迦陵頻伽(かりょうびんが)を拝観できる。

地域ネコの見守りと保護活動にも力を入れ、寺の掲示板のことばの書と猫の写真をSNSに投稿し、大きな反響を呼んでいる。Xフォロワー28万人、Instagramフォロワー33万人(2025年9月時点)。

著書に『ネコさんの「心にしみる」おひとりさま名言』(双葉社)、『大阪 専念寺 ネコ坊主の掲示板 人の悩みのほとんどは「人」 今日のことば101」 (主婦と生活社)。

専念寺ホームページ

 

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