伝えたい “食の知識” Vol.10|食べながら備える。ローリングストックという知恵(摂南大学 安藤真美教授に教えていただくシリーズです)


摂南大学農学部食品栄養学科・教授 安藤真美さん
食べながら備える。ローリングストックという知恵
近年、地震や豪雨、台風などの災害が相次ぎ、「備え」への関心はこれまで以上に高まっています。とはいえ、防災意識はあっても、実際にどう食を備えればよいのか迷う方も多いと思います。
近年注目されている「ローリングストック法」
「非常食」と聞くと、これまでは、乾パンや缶詰を非常用に購入し、いざという時まで開けずに保管しておくものというイメージを持たれがちでした。しかし近年注目されているのが「ローリングストック法」です。これは普段使っている食材や加工食品を少し多めに買い置きし、日々の食事で消費しながら、使った分を買い足していく方法です。特別な非常食ではなく家庭で普段から使っている「食べ慣れた味」を備蓄することで、災害時のストレス下でも安心して口にできるという利点があります。
備蓄に適した食品の選び方や、ローリングストックの具体的な進め方、災害時にすぐ作れる簡単なレシピについては、農林水産省が公表している「災害時に備えた食品ストックガイド」にも詳しくまとめられています。
電気やガスが止まった状況の調理法
もう一つ大切なのが、電気やガスが止まった状況での調理法です。カセットコンロとボンベがあればある程度の加熱調理は可能ですが、ボンベにも限りがあるため、そのまま食べられる食品や、水やお湯を注ぐだけで調理できるものを組み合わせておくと安心です。缶詰は開けてそのまま食べられ、たんぱく質源としても優秀です。また、ポリ袋を使った「パッククッキング」も注目されています。少量の水で済み、洗い物も減らせる調理法で、平常時の防災訓練として一度試しておくと、いざという時に落ち着いて対応できます。
日々の食生活の延長線上にある備え
備えは特別なことではなく、日々の食生活の延長線上にあるものです。ローリングストックを習慣化し、無理なく「備える」意識を持つことが、災害時の食の安心につながります。
〜おすすめの1品〜
「大豆とセミドライトマトのごま油和え」

【材料】
大豆水煮……………………………適宜
セミドライトマト…………………適宜
アーモンド(素焼き・粗刻み)…適宜
ごま油………………………………適宜
塩(あれば岩塩)…………………少々
砂糖…………………………………少々
(お好みで)粗びき黒こしょう…少々
【作り方】
1.セミドライトマトは食べやすい大きさに刻む。
2.大豆は汁気を切ってボウルに入れ、1のトマトを合わせる。
3.ごま油、砂糖、塩を加えて和え、粗刻みのアーモンドを散らす。お好みで粗びき黒こしょうをふる。
【ポイント】
大豆水煮とセミドライトマト、アーモンドを和えるだけの、加熱不要の一品です。大豆の良質なたんぱく質に、トマトの旨みとアーモンドの香ばしさが加わり、非常時でも満足感のある味わいに仕上がります。缶詰と常温保存できる食材だけで作れるので、ローリングストックの実践例としてもぴったり。洗い物も少なく、災害時はもちろん、普段の副菜やおつまみとしても活躍する一品です。
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