言い方に考え方がでる。|ネコ坊主の今日の一言 Vol.41 

2026.11.05 ● ネコ坊主のねこさんから人間さんへ今日の一言

よみふぁみでは、毎月第1・第3木曜日に、人間関係が楽になる・心にしみることばを紹介するネコ坊主の「ネコさんから人間さんへ今日の一言」を連載しています。
今回は、「言い方に考え方がでる。」です。

 
ネコ坊主こと、専念寺住職の藪本正啓です。

言葉には、その人の心が表れる

言葉には、その人の心が表れます。同じことを伝えるにしても、相手をほっとさせる人もいれば、胸に棘を残す人もいます。その違いは、話す技術だけではありません。相手を、どのような気持ちで見ているか。その心の向きが、声の調子や何気ない一言ににじむのです。
 
どれほど立派な考えを語っていても、人を見下す言い方をすれば、その言葉は届きにくくなります。正しいことを言っているつもりでも、相手の尊厳まで傷つけてよいわけではありません。伝える目的が、「分かってもらうこと」から「言い負かすこと」に変わっていないか、自分の心を確かめたいものです。
 

仏教の「正語」に学ぶ、思いやりのある伝え方

仏教には、言葉のあり方を見つめる「正語」という教えがあります。嘘や悪口、人の仲を裂く言葉、むやみな言葉を慎む教えです。それは、ただ口当たりのよいことを話すという意味ではありません。必要なことを、相手のためになるように、伝える時や言い方にも心を配ることにつながります。
 
優しさは、何でも黙って受け入れることではありません。時には注意や断りの言葉も必要です。それでも、「どうしてできないの」と責めるのか、「どこで困っていますか」と尋ねるのかで、その後の関係は変わります。相手にも事情があり、自分には見えていない苦しみがある。そのことを忘れずにいたいのです。
 

ひと呼吸置いて、言葉を整える

私たちも疲れている時や余裕のない時には、言葉が荒くなります。だからこそ、口を開く前に、ひと呼吸置いてみることです。今の自分は怒っているのか、焦っているのか、寂しいのか。感情に気づくだけでも、そのまま相手にぶつけずに済むことがあります。言葉を整えることは、自分の心をいたわることでもあるのです。
 
一度口にした言葉を、なかったことにはできません。それでも、言い過ぎたと気づいた時には、素直に謝り、伝え直すことができます。品格とは、一度も間違えないことではなく、自分の言葉に責任を持とうとする姿にも表れるのでしょう。
 
何を言うかは大切です。そして、どう伝えるかにも、その人の生き方が宿ります。今日の一言が、誰かを追い詰めるものではなく、少し安心して息をつけるものになるように。まずは身近な人への言葉から、思いやりを添えていきたいものです。
 
 
 

プロフィル

融通念仏宗 一向山専念寺 住職 籔本正啓(通称:ネコ坊主)

大阪市平野区喜連にある専念寺の第25代住職。1982年、大阪市平野区生まれ。7歳で父を病で亡くし、 母方の実家である専念寺に戻り、僧侶を志す。 23歳で住職を拝命。専念寺は豊臣家ゆかりのお寺で、「日本で一番美しい」と言われる迦陵頻伽(かりょうびんが)を拝観できる。

地域ネコの見守りと保護活動にも力を入れ、寺の掲示板のことばの書と猫の写真をSNSに投稿し、大きな反響を呼んでいる。Xフォロワー29万人、Instagramフォロワー45万人(2026年7月時点)。

著書に『ネコさんの「心にしみる」おひとりさま名言』(双葉社)、『大阪 専念寺 ネコ坊主の掲示板 人の悩みのほとんどは「人」 今日のことば101」 (主婦と生活社)。

専念寺ホームページ


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