職場で心を開きすぎるな。あなたの秘密は誰かの話のネタになる。|ネコ坊主の今日の一言 Vol.35 

2026.08.06 ● ネコ坊主のねこさんから人間さんへ今日の一言

ネコ坊主の「ネコさんから人間さんへ今日の一言」Vol.35 職場で心を開きすぎるな。あなたの秘密は誰かの話のネタになる。 ネコ坊主かく

よみふぁみでは、毎月第1・第3木曜日に、人間関係が楽になる・心にしみることばを紹介するネコ坊主のネコ坊主の「ネコさんから人間さんへ今日の一言」を連載しています。今回は、「職場で心を開きすぎるな。あなたの秘密は誰かの話のネタになる。」です。

 
ネコ坊主こと、専念寺住職の藪本正啓です。

職場は友達をつくるための場所ではなく、それぞれが仕事という役割を果たす場所でもある

職場では毎日のように同じ人と顔を合わせます。朝のあいさつを交わし、一緒に仕事をして、休憩時間には他愛のない話で笑い合う。そんな日々を過ごしていると、いつの間にか「この人は友達みたいな存在や」と感じることがあります。それ自体は決して悪いことではありません。気持ちよく働くためには、信頼できる人や話しやすい人がいることは大切です。
 
しかし、職場は友達をつくるための場所ではなく、それぞれが仕事という役割を果たす場所でもあります。この当たり前のことを忘れてしまうと、人間関係で思わぬ苦しみを抱えることがあります。
 
「この人なら安心や」と思って、自分の悩みや家庭のこと、職場への不満、誰にも言っていない秘密を打ち明けることがあります。ところが数日後、「なんでその話を知ってるん?」と驚くような場面に出会うことがあります。
 
もちろん、最初に話を聞いた人が悪意を持って広めたとは限りません。「実はこんなことで悩んでるらしいよ」と心配する気持ちで話したのかもしれませんし、「誰にも言わんといてな」と言われたことを、つい別の人に話してしまっただけかもしれません。でも、その「つい」が積み重なると、話はあっという間に職場中へ広がってしまいます。
 

何でも話せる相手と、仕事を一緒にする相手は必ずしも同じではない

人は悪意だけで動くものではありません。善意や軽い気持ちからでも、人を傷つけることがあります。だからこそ、「人を信用したらあかん」ということではなく、「何を話すかは自分で選ぶ」ということが大切なのです。
 
仏教には「口は禍福かふくの門」という教えがあります。口から出る言葉は、幸せを運ぶこともあれば、災いを招くこともあります。それは人を傷つける言葉だけではありません。自分の秘密や、まだ話す必要のないことまで口にしてしまえば、その言葉が巡り巡って自分を苦しめる原因になることもあります。
 
だから、話さなくてもいいことは無理に話さない。それは心を閉ざすことではなく、自分自身を大切にする知恵です。
 
仕事では笑顔で接し、困っている人がいたら助け合う。感謝の言葉を忘れず、誠実に向き合う。それだけで十分に良い人間関係は築けます。けれど、自分の心の奥底まで誰にでも見せる必要はありません。
 
近づきすぎれば期待が生まれ、期待が大きくなれば、少しの言葉や態度にも傷つきやすくなります。適度な距離があるからこそ、お互いを尊重し、気持ちよく付き合えることも少なくありません。
 
職場は仕事をする場所です。仲良くすることは大切ですが、何でも話せる相手と、仕事を一緒にする相手は必ずしも同じではありません。その一歩引いた距離感が、結果として自分の心を守り、長く穏やかに働き続ける力になります。
 
人とのご縁を大切にしながらも、自分を守る境界線も忘れない。そのバランスを持つことが、仏教でいう「中道」の生き方にも通じるのではないでしょうか。
 
 
 

プロフィル

融通念仏宗 一向山専念寺 住職 籔本正啓(通称:ネコ坊主)

大阪市平野区喜連にある専念寺の第25代住職。1982年、大阪市平野区生まれ。7歳で父を病で亡くし、 母方の実家である専念寺に戻り、僧侶を志す。 23歳で住職を拝命。専念寺は豊臣家ゆかりのお寺で、「日本で一番美しい」と言われる迦陵頻伽(かりょうびんが)を拝観できる。

地域ネコの見守りと保護活動にも力を入れ、寺の掲示板のことばの書と猫の写真をSNSに投稿し、大きな反響を呼んでいる。Xフォロワー29万人、Instagramフォロワー45万人(2026年7月時点)。

著書に『ネコさんの「心にしみる」おひとりさま名言』(双葉社)、『大阪 専念寺 ネコ坊主の掲示板 人の悩みのほとんどは「人」 今日のことば101」 (主婦と生活社)。

専念寺ホームページ


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