再訪 西国三十三所 第十五番札所「新那智山 今熊野観音寺」
第十五番札所
新那智山 今熊野観音寺
御詠歌 ◆
昔より 立つとも知らぬ 今熊野
ほとけの誓い あらたなりけり

熊野の「那智山 青岸渡寺」から始めた巡礼の旅も半ばに差しかかった。京都・東山三十六峯の深緑に包まれて頭痛封じや知恵を授けてくれる「頭の観音様」がたたずんでいる。


東大路通から皇室ゆかりの泉涌寺に向かう坂道を上り、赤い鳥居橋を渡ると、最初に迎えてくれるのが「子護大師」。寺を開いた弘法大師空海の足元で三人の子供が戯れる石像だ。石段を上がると本堂があり、空海が熊野権現より授かった一寸八分の観音像を体内仏として自ら刻んだと伝わる十一面観世音菩薩像がまつられている。熊野信仰に熱心だった後白河上皇も深く信仰し「新那智山」の山号を下賜した。
本堂で迎えてくれた藤田友章住職は「巡礼は救いを求めて三十三所を回るのです。観音様を思い、手を合わせ続けることで、いつか、どこかで、思いが通じる場所があるはずです。観音様と縁を結ぶことで人を許せる心が芽生えるかも知れません。その心が広がれば世界が平和に暮らせるでしょう」と語る。
話を聞いている間も本堂には多くの巡礼者が訪れていた。「多くの人の思いが集まる救いの場が1200年以上も変わらずあるのは素晴らしいことです」と藤田住職は参拝者を見守っていた。

本堂前には「五智の井」があり、空海が寺を開いたときに錫杖で岩根を突くと湧き出たと伝わる「五智水」が今もこんこんと恵みの水を与えてくれている。

真言宗泉涌寺派。京都市東山区。JR京都駅から市営バスで「泉涌寺道」停下車、徒歩約10分。納経時間は午前8時から午後5時。入山無料。
撮影・文 ◆ 土屋 功(つちやいさお)(読売新聞大阪本社)
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