再訪 西国三十三所 番外「華頂山 元慶寺」

2026.06.19 ● 再訪 西国三十三所

 

番外
   華頂山 元慶寺  

かちょうざん がんけいじ

 

御詠歌

待てといわば いとも畏し 花山に
しばしと啼かん 鳥のねもがな

 

近江国から逢坂の関(おうさかのせき)を越えると山々に囲まれた小さな盆地の山科だ。渋谷街道を西へ進むと東山山麓の住宅街の奥に白壁で竜宮造りの鐘楼門が見える。
 

山門を入ると四季を彩る草木で整備された境内が広がる。宝形(ほうぎょう)造りの本堂には、薬師如来像や寺を開いた遍昭僧正の木像などが安置されている。本堂正面の両扉には、菊花の紋章が輝いていた。かつては七堂伽藍(がらん)を構える天皇の勅願寺でもあった。



寺は、17歳にして即位した花山帝が、宮中から押し出されるようにして身を寄せ落飾した舞台にもなった。花山法皇となり比叡山や熊野などで仏道の修行を積み、徳道上人が埋めたとされる宝印を掘り出し、各霊場に配る旅に出たとされる。
杉山良空副住職は「巡礼の目的は各人それぞれですが、本来は自分自身を見つめる修行の一つかと思います」と話している。

 

 
宮中での政争に巻き込まれ幾度の災禍に見舞われた。今は、住宅街に囲まれたわびしさの漂う静かな寺だった。参拝を終え山門を出ると「北花山」などの地名が歴史の名残を感じさせた。

 

 

▼ ガイド
天台宗。京都市山科区。京都市営地下鉄「御陵」駅下車。徒歩約15分。納経時間は午前8時から午後5時。入山無料。

撮影・文 ◆  土屋 功(つちやいさお)(読売新聞大阪本社)

 

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