【相続コラム】Q相続の相談、「とりあえず銀行」で大丈夫? |ワンコ税理士の損をしない相続Vol.47

Vol.47
相続の相談、「とりあえず銀行」で大丈夫?
「父が亡くなり、預金と実家が残った。相続のことは、どこに聞けばいいのだろう」
そんな時、多くの方が最初に思い浮かべるのは、取引のある銀行ではないでしょうか?
ただ、通常の銀行窓口が担当するのは、その銀行にある預金の解約や払い戻しなどの手続きです。他行の口座、不動産の名義変更、相続税の申告、相続人同士の話し合いまで対応してくれるわけではありません。
銀行や市区町村は入り口
遺産整理サービスを扱う金融機関もあります。
窓口を一本化できるのは利点ですが、相続税の申告は税理士、相続登記は司法書士など、専門家が担当する部分があります。銀行の手数料とは別に専門家への報酬が必要になることもあるため、どこまで任せられるのか、総額はいくらかかるのかを先に確認しておきましょう。
市区町村も同じです。戸籍や住民票などは取得できますが、財産の評価や相続税額の判断、相続人同士の調整をしてくれるわけではありません。
銀行も役所も、相続手続きの「入口」と考えると分かりやすいでしょう。

相続税がかかりそうなら、先ずは税理士へ
「相続税がかかるかもしれない」と思ったら、早めに税理士へ相談してください。
相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。
ただし、預金がこの金額を下回っていても安心とは限りません。
土地や建物、株式などに加え、生命保険金や一定の生前贈与も相続税の計算に関係します。不動産も、実際に売れる金額ではなく、相続税のルールに従って評価します。
そして大切なのが、相談する順番です。
「家は長男、預金は長女」と決めてからではなく、分け方を決める前に税務面を確認しておくことをおすすめします。
配偶者の税額軽減や、小規模宅地等の特例による自宅敷地などの評価減は、誰がその財産を取得するかによって適用関係が変わります。
遺産分割協議を終えた後で「税金を考えると別の分け方がよかった」となっても、簡単にやり直せるものではありません。
相続税の申告と納税の期限は、原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。何も決まっていない段階だからこそ、確認しておく意味があります。
不動産があるなら、司法書士へ
実家や土地の相続登記は、司法書士の専門分野です。
ただし、相続税がかかりそうな場合は、登記だけを先に進めず、誰が不動産を取得するのかを税務面も含めて確認してください。
いったん遺産分割によって取得した不動産を、後から別の相続人に移すと、税務上は単なる相続のやり直しではなく、贈与などとして扱われることがあります。
一方で、相続登記を放置することもできません。
2024年4月から相続登記が義務化され、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請することが原則となりました。
義務化前に発生した相続も対象で、2024年4月1日以前から相続したことを知っている未登記の不動産は、期限が原則として2027年3月31日です。
何十年も前に亡くなった祖父名義の土地も対象です。
名義変更をしないまま世代が進むと相続人が増え、遺産分割のために、会ったことのない親族との調整が必要になることもあります。
実家や土地があるなら、誰の名義で登記されているのか、一度確認しておいてください。
相続人同士でもめているなら弁護士へ
分け方について家族の意見が違うだけなら、珍しいことではありません。
しかし、「兄弟で分け方がまとまらない」「遺言の内容に納得できない」となれば、単なる手続きではなく法律上の問題になってきます。
相続人の一方の立場で交渉し、家庭裁判所の調停や審判に対応するのは弁護士の分野です。
もう一つ、急いで確認したいのが、借金のある相続です。
相続放棄は、原則として自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所で手続きをする必要があります。
注意したいのは、その間の相続財産の扱いです。
相続財産を売却したり、自分のために使ったりするなど、「処分した」と判断される行為をすると、単純承認をした(相続をした)ものとして扱われ、相続放棄ができなくなることがあります。
「借金が多いかもしれない」と思ったら、自己判断で財産を動かす前に相談した方が安全です。

相談前に、そろえておきたい4つのこと
財産をすべて調べ、書類をそろえてからでなければ相談できない、と考える必要はありません。まずは、次の4つが分かれば十分です。
① どんな財産があるか(分かる範囲で)
② 相続人は誰か
③ 遺言書はあるか
④ 今、何に困っているか
相続税がかかりそうならまずは税理士、争いがあるなら弁護士、不動産の名義変更が中心なら司法書士。これを一つの目安にしてください。
実際には、税金、不動産、遺産分割が同時に関係することも少なくありません。その場合は、一つの手続きだけを先に進めるのではなく、必要な専門家が連携して進めることが大切です。
相続を扱う専門家は、他の士業と連携していることも多いため、必要な専門家を一人ずつ探す必要はありません。
相続は、「誰に相談するか」と同じくらい、「いつ相談するか」も重要
手続きを進めた後ではなく、「どうすればよいか分からない」と迷った段階で相談することが、余計な手間ややり直しを減らすことにつながります。

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