周年企業におじゃましまーす*カネテツデリカフーズ(神戸市東灘区)
よみふぁみ
2026年3月号掲載の「周年企業におじゃましまーす!」で、今年3月に創業100周年を迎える食品メーカー・カネテツデリカフーズ(神戸市東灘区)の本社・工場へ行ってきました。

取材に応じてくれたのは、マーケティング室マネージャーの髙浦良子さん(写真左)と係長の徳永貴大さん。
同社の歴史はもちろんですが、イメージキャラクター「てっちゃん」や様々な商品にまつわるエピソード、トリビアも教えてくれたのでご紹介します❗
「てっちゃん」のモデルは

徳永さん 「てっちゃん」が生まれたのは1951年。
当時の流行歌「かわいい魚屋さん」にヒントを得て、威勢のいい一心太助の風情に、当時の副社長の幼少時代の面影を加えたのが「てっちゃん」です。
その頃のかまぼこの広告といえば、歌舞伎調の鮮やかな色使いのものが主流で、かわいい子供のキャラクターを使ったのは、斬新な発想でした。
「てっちゃん、てっちゃん、かねてっちゃん」で始まると思っていた歌
徳永さん 「てっちゃんの歌」は、今でも覚えてくださってて、ソラで歌えるという方も多く、大体、関西で育った40代以降の方のようです。
――50代半ばの記者の名前も哲也。
小学生の頃は「かねてっちゃん」と言われたこともあり「今でも歌はちゃんと覚えてます」って、取材中も自信満々に〝てっちゃん愛〟をアピール。
しかし「てっちゃん、てっちゃん、かねてっちゃん」で始まると思っていた歌詞。記憶は誤りでした😯
今さらながら知った歌詞は「ままごと遊びの母さん達はみんなてっちゃん大好きよ」から始まる。
その部分のメロディーさえ、全然記憶に無い……😅
髙浦さん 「てっちゃんの歌」は、3番まであるんですよ。
当社のホームページに歌詞を掲載しているので、ぜひご覧ください。
それと、「ヤン坊、マー坊の天気予報」の前は「てっちゃんの天気予報」でした。1970年代のことですが、ご存知でしたか。
――「ヤン坊、マー坊の天気予報」は覚えているけど、「てっちゃんの天気予報」は全然記憶に無い……1970年代のことだそうで、幼少の頃にテレビで流れていたのを見ていたのかもしれないけれど、全然ビジュアルが頭に浮かばない……😅
カネテツと中島らもさん

――1982年に宝島社の雑誌「宝島」で、中島らもさんの企画で始まった「啓蒙かまぼこ新聞」は、カネテツの知名度を全国に広めました。
同社には連載のスクラップブック(写真)が貴重な資料として大切に保存されています。
髙浦さん 「啓蒙かまぼこ新聞」には、てっちゃんにサングラスをかけてひげを生やしたビジュアルの「てっちゃんの父ちゃん」も登場。
弊社的には広告だったのですが、読み物みたいで、広告っぽくない広告というのが、すごく話題になりました。
徳永さん 関西ではカネテツだとわかるのですが、関東の方は中島らもさんが、空想の会社のことを面白おかしく書いているんじゃないかと思っていた方も多かったようです。
後からカネテツのことを知って「本当にある会社なんだと」驚かれる方もいました。
公演が終わると客席に向かってちくわが飛ぶ
髙浦さん 80年代半ばには、中島らもさんの劇団「笑殺軍団リリパットアーミー」の公演にも協賛して、〝ちくわの狂い投げ〟が名物として行われていました。
舞台の最後に、出演者が客席に向かって「はも竹」を投げ込むというもので、ネットで「カネテツ」を検索するすると、「中島らも」「ちくわ狂い投げ」もよく出てきます。

「ちんぴら」から「珍比良」へ
髙浦さん 1952年に発売された豆ちくわ「珍比良」は、70年を超えるロングセラー商品です。
発売当初は「ちんぴら」とひらがなの商品名でした。
豆ちくわは、製造現場で通常のちくわと違う〝はぐれ者〟という意味で〝ちんぴら〟という愛称で呼ばれていたのが由来です。
「珍しく、他に比べようもないほど良いもの」という漢字をあてて、現在の商品名「珍比良」という表記になっています。

↑発売初期のパッケージ(左)と現在のパッケージ
関西のローカルフード「野菜フライ」
徳永さん 1955年に発売され昨年70周年を迎えたのが「野菜フライ」です。
関西のローカルフードとして、根強いファンが多くて、特に神戸や和歌山では定番中の定番です❗
すり身でできているのでタンパク質が取れて、野菜がたっぷり40%くらい入っています。
開けたらすぐ食べられる簡便さや、物価高による経済志向も人気を後押し。カレー味や夏野菜、エビタルタルなど季節商品もあり、温めるとよりおいしく召し上がれます。
大ヒット商品「ほぼカニ」
2014年に発売され、今やカネテツを代表する大ヒット商品となった「ほぼカニ」。
「世界一ズワイガニに近いカニ風味のかまぼこ」を作ろうと12年に開発に着手され、約2年の開発期間中、開発担当者はずっとズワイガニを食べ、〝本物のカニよりもカニらしい〟ものを追求しの研究を重ねたそう。
↑26年2月21日から発売される新パッケージの「ほぼカニ」
今まで以上に〝カニ感〟がアップ!
髙浦さん 商品名は、「ZY(ずわい)」や「カニかも」「まるでカニ」などいろんな案がありました。
当時の社長で現会長が試作品を食べた時に「ほぼカニやん、コレ」と言ったことから「ほぼカニ」に決定。
専用のカニ酢の開発には私も携わっていました。
そのまま食べてもおいしいのはもちろんですが、少し温めるとカニの香りが増してよりカニのおいしさを感じやすくなります。
おすすめは、鍋でしゃぶしゃぶして食べることです。
「※カニではありません」の表記がSNSで話題に
髙浦さん ある時、「ほぼカニ」という商品名の横の「※カニではありません」というのがとても面白いとSNSで書いてくれた方がいて、それが一気に広まり話題になりました。
当社としては、消費者に誤認されないために表記している当然のことがウケて、SNSで練り物の市場が動くなんて、思いもよりませんでした。

「ほぼシリーズ」に込められた壮大なテーマ
「ほぼカニ」以外にも「ほぼタラバ」「ほぼホタテ」など様々な商品が加わっている「ほぼシリーズ」。

徳永さん いくら、うなぎ、カキフライなど、お客様の要望に応えるのはもちろんですが、お客様のお困りごとや社会課題をキーワードに開発しています。
価格高騰や絶滅危惧種にも指定されているウナギなど資源の保護という思いも込められています。実は面白いだけじゃなく、カネテツの壮大なテーマがあります。
――カキが好きだけど辛い経験がある人には、「ほぼカキフライ」(季節限定)もよさそう。
食品にアレルギーを持つ人にとっては代替品として、楽しめるメリットも。
記者はアワビでアナフィラキシーが出た経験があって、取材後は、いつか「ほぼアワビ」とかできたらいいなって思いながら帰っていました(笑)。
他にもいろんな悩みで〝本物〟が食べられないという方もいるだろうし……。
創業100周年ということで、新たな「ほぼシリーズ」は出ないのかな。
期待を膨らませながら、楽しみに待っています。
(記者/山下哲也)
▼徳永さんが六甲アイランドにある
本社・工場を案内してくれた
動画はコチラ✨
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