岡山 ✽ 凜(りん)とした花姿 美しく ✽ 新見リンドウ(新見市)
【 岡山県版 】いいね
凜とした花姿 美しく
新見リンドウ(新見市)
新見特産リンドウの生産拡大に尽力する三好さんと妻の圭子さん、JA営農指導員の松本さん(左から)
すっくと伸びた姿に青や紫の花色が涼し気なリンドウ。
仏花はもちろん、昨今は結婚式などの晴れの場やギフトとしても人気を集めている。
その一大産地が岡山にあった。
◆県オリジナル品種も多数
新見市はリンドウを年間約100万本出荷する西日本最大の産地。25年前、市内の冷涼な山間地域がリンドウ栽培に適していると官民で産地化を進め、県オリジナル品種がいくつも誕生した。現在、21戸の農家がシーズン終盤の10月まで精を出す。
真っすぐ伸びた茎に青や紫色のつぼみをつけたリンドウ(写真提供/JA晴れの国岡山)
◆〝脱サラ〟リンドウ農家に
出荷が始まった6月半ば、JA晴れの国岡山の営農指導員・松本和明さんの案内で、新見花卉部会長の三好充さん(75)の畑へ。道すがら、リンドウ畑が点々と見える。三好さんの畑には、真っすぐ伸びた茎に青や紫色のつぼみを付けた約3万株がずらりと並び、圧倒されるほど。凜とした花姿が実に美しい。ピーク時の8月は1日に3000本を摘むそうだ。栽培を始めたのは勤めていた会社を定年退職した15年前。隣人農家の勧めで所有する水田の一部を転作し、リンドウ栽培を始めた。今や部会を率いるベテランの一人だが、仲間たちと栽培技術を磨くため、「畔端講習会」と称し、定期的に互いの圃場に集まって情報交換を行っている。
白いリンドウも人気(写真提供/JA晴れの国岡山)
今年、同部会は昨年より60万本多い約150万本を出荷予定。三好さんは「色鮮やかで花持ちの良い仏花として認知されたのでしょう。うれしいですね」と喜ぶ。松本さんは「高級感もあるのでウェディングブーケやフラワーアレンジメントの需要も増えているんですよ。自由度の高さがリンドウの魅力です」と語る。市場ニーズの高まりの一方で、数年前から担い手不足が課題に。市やJA、花卉部会は就農への理解を深めてもらおうと、農業体験にも力を入れてきた。これまでに、県外から5家族が移り住み、リンドウ農家になった。その一人で広島県福山市出身の佐藤亮さん( 43 )は脱サラして新見市へ。「時代は農業だ!と。妻を説得して40歳でこの世界に飛び込みました」と当時の意気込みを振り返る。就農1年目は先輩農家の元で栽培のノウハウを学び、2年目で初出荷。3年目を迎えた今年は約3万本を出荷する。「会社員時代の冷や汗と違い、農作業後の汗は爽快。今後は作付面積を増やしていきたいです」と張り切る。花卉部会の生産者が丹精込めて育てたリンドウは、昨年の「第74回全国植樹祭岡山2024」の会場を彩り、産地PRにもつながった。もうすぐお彼岸。優美な新見産リンドウは花持ちもよく、故人をしのぶのにもふさわしい花だ。
(エリアライター/福田ひろみ)
花卉部会ではリンドウの花びらで染めたスカーフを制作販売している(写真提供/JA晴れの国岡山)
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