広島 ✽ 旬を訪ねて ✽ 安芸津マル赤馬鈴しょ(東広島市)
【 広島県版 】旬を訪ねて
食べると忘れられなくなる旨(うま)み
安芸津マル赤馬鈴しょ(東広島市)
凹凸が少なく丸々とした馬鈴しょ(写真提供/JAひろしま)
皮が驚くほど薄く、加熱するとホクホク、そしてねっとり。
口に入れると自然な甘みが広がり、旨みがギュッと詰まっている。
「一度食べたら忘れられない」と評判のジャガイモ「安芸津マル赤馬鈴しょ」が旬を迎えている。
◆年2回栽培 魔法の赤土
「安芸津マル赤馬鈴しょ」の産地は東広島市の南端、瀬戸内海に面した安芸津町。中でも赤崎地区で特に多く栽培されている。最大の特徴は「土」にある。同地区の土壌は鉄分を多く含んだ赤土で、pH4~5の酸性。これが一般的には避けられないジャガイモの連作障害を防ぎ、通常は年に一度しか栽培できないところ、ここでは春と秋の年2回育てることができる。この赤土は、水はけが抜群に良く、適度にミネラルを含んでいるため、「魔法の赤土」とも呼ばれている。主な栽培品種は「デジマ」。昨年は80軒ほどの農家が約400tを生産したが、収穫量が少ないため、県外にはほとんど出回らない。流通するのも6〜8月と12〜1月の限られた時期だけだ。
丁寧に扱う収穫作業(写真提供/JAひろしま)
◆若い担い手 新たな視点で挑戦
安芸津でのジャガイモ栽培は約110年前に始まり、1965年に生産量が約8000tと最盛期を迎えた。しかし2003年には約2000tまで減少、昨年はその5分の1に落ち込んでいる。主な原因は、農家の高齢化と後継者不足、そして効率的な生産が難しいことだ。「デジマ」は皮が薄く傷つきやすいため、丁寧な手作業が必要なうえ、赤土の畑は丘陵地にモザイク状に点在し、1枚あたりの面積が狭いため、大型機械を使った大規模な作業が難しい。JAひろしまの営農指導員・久保勝義さんは「人の手で行う重労働が多く、効率的に生産するのは難しい」と語る。そんな厳しい状況の中、30歳代で就農4年目の平元雄志さんは「保存設備を整えることで販売期間を延ばし、安芸津マル赤馬鈴しょの価値を高めたい」と話す。作り続けられる環境を目指し、未来を見据えた若い担い手が新たな視点で挑戦を始めていた。
(エリアライター/井東由里子)
マル赤馬鈴薯出荷組合の皆さん(写真提供/JAひろしま)
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