鳥取 ✽ べっぴんサバ 「刺し身でいただきます!」タシマボーリング(鳥取市)
【 鳥取県版 】いいね!
べっぴんサバ 「刺し身でいただきます ! 」
タシマボーリング(鳥取市)
網代漁港にある養殖場の全景(写真提供/タシマボーリング)
鳥取県岩美町大谷の網代漁港でサバの陸上養殖を行っているのが、井戸などの掘削を手がけるタシマボーリング。
地下海水を使うことでアニサキスなど寄生虫のいないサバを育てることができ、刺し身で食べられるため県内外の飲食店などから引き合いが相次いでいる。
◆ 地下海水でサバを養殖
サバの陸上養殖は、2015年からJR西日本が手がけていた。養殖センターで使う地下海水をくみ上げる井戸を掘削したのがタシマボーリング。その縁もあり、社長の田島大介さん(55)が「地元企業として地域振興に貢献できれば」と、21年4月から同社の新たな事業部門として養殖を引き継いだ。現場では田島社長のほか、妻の美佳さん(52)と娘のみよさん(23)、友人の橋尾佳那さん(23)が作業を担い、JR西日本のブランド「お嬢サバ」を引き継ぎながら、同社のオリジナルブランド「べっぴんサバのさばみちゃん」を養殖している。
養殖場には容量50tの水槽が9基。1基あたり約5000匹のマサバを、水を常時循環させる「かけ流し方式」で稚魚から育て、約30㎝(250g程度)のサイズになると活き締めにして出荷している。ちなみに養殖には地下約10mからくみ上げた地下海水が最適なのだそうだ。
地下海水は寄生虫や不純物の心配がないため、育つサバは刺し身で食べられるのが最大の特長。エサにもこだわり、地元特産のナシや魚介類、果汁のしぼりかすなどを混ぜることで、天然のサバに比べ脂質は約3倍、脂肪酸のEPAやDHAがそれぞれ約4倍(長崎県食品衛生協会調べ)あるという。さらに、太陽光発電パネルを設置して養殖場のポンプを作動させていて、田島社長は「エサからエネルギーまでSDGsを意識して取り組み、エコで健康的なサバを出荷する〝循環型サバ社会〟を実現しています」と説明する。
写真左:「べっぴんサバのさばみちゃん」の刺し身(写真提供/タシマボーリング)
写真右:養殖場の前で。右から田島社長、田島みよさん、橋尾佳那さん
◆ 女性も活躍 陸上養殖場
陸上養殖の作業の中心は水槽や魚の管理、給餌などで、女性でも就労しやすい。田島社長は「陸上養殖で後継者不足に悩む漁業に一石を投じられれば」と言い、「男性中心の場に女性が入ることで、業界のジェンダーレス化も進めたい」とも話す。みよさんと橋尾さんは「魚の養殖は初めてですが、作業はそれほどきつくない」「サバの成長が楽しみ」と声をそろえる。
「さばみちゃん」は24年11月から岩美町新井の道の駅「きなんせ岩美」で冷凍の刺し身での販売が始まり、同町のふるさと納税返礼品にもなっている。同町ふるさと納税推進センターのマネジャー・青木一晃さんは「これから町の特産品として売り出していきたい」と言い、田島社長は「安心安全なサバを提供することで消費者の信頼を得ていきたい」と今後の取り組みに意欲を見せる。(エリアライター/安井徹仁)
水槽内を泳ぐサバに給餌するみよさん(左)と橋尾さん(中)
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